靠谱电子书 > 经管其他电子书 > 白夜行:日文版 >

第84部分

白夜行:日文版-第84部分

小说: 白夜行:日文版 字数: 每页4000字

按键盘上方向键 ← 或 → 可快速上下翻页,按键盘上的 Enter 键可回到本书目录页,按键盘上方向键 ↑ 可回到本页顶部!
————未阅读完?加入书签已便下次继续阅读!



 一成の全く知らない男だった。笹垣にもそう答えた。
「そうですか。それは残念」
「誰なんですか」
「私が追い続けている男です。先程お渡しした名刺を、ちょっと貸してもらえますか」
 一成は笹垣潤三と印刷された名刺を彼に渡した。彼はその裏にボ毳讠螭呛韦珪zんでから、どうぞ、と返してきた。一成は裏を見た。『桐原亮司 きりはらりょうじ』と書いてあった。
「きりはら……りょうじ。何者ですか」
「幽霊みたいなものです」
「幽霊?」
「篠塚さん、その写真の顔と、この名前を、どうか頭に叩き込んどいてください。そうして、もしもどこかで見かけることがあったら、どういう時であっても、すぐに私に連絡してほしいんです」
「そうおっしゃられても、一体どこにいるんですか、この男は。それがわからなければ、単なる指名手配と同じですよ」一成は小さく両手を広げた。
「現在どこにいるかは全く不明です。しかし、確実にこの男が現れるところがある」
「どこですか」
「それは」笹垣は唇を舐めて続けた。「唐沢雪罚Г沃苻xです。ハゼはエビのそばにおると相場が決まってます」
 老刑事のいった意味が、一成はすぐには理解できなかった。

[#ここから7字下げ]

[#ここで字下げ終わり]

 田園風景が窓の外を流れていく。時折、企業名や商品名の入った看板が田畑に立っていたりする。単眨峭饲曙L景だ。町並みを眺めたいと思うが、新幹線がそういうところを走る時には防音壁に囲まれてしまって何も見えない。
 窓枠に肘をついたまま、典子は隣の席を見た。秋吉雄一は目を椋Г袱郡蓼迍婴胜ぁC撙盲皮悉椁骸⒑韦激à搐趣颏筏皮い毪韦坤趣いΔ长趣吮伺蠚荬扭い皮い俊
 彼女は再び目を外に向けた。重苦しいような緊張感が、心をずっと圧迫し続けている。この大阪行きが、またしても不吉な風を呼ぶことになるのではないかという思いが頭から離れない。
 しかしこれが秋吉という男のことを知る、最後のチャンスではないかとも思う。振り返ってみれば、典子は彼のことを殆ど何も知らぬまま、今日まで来てしまった。彼の過去に興味がなかったわけではない。だが、そんなことはどうでもいい、大事なのは現在だという考えがあったのも事実だ。ほんの短期間で、彼は彼女にとってかけがえのない存在になっていた。
 窓の外の風景が少し変わった。愛知県に入ったようだ。自動車関連メ‘の看板が増えている。典子は実家のことを思い出した。彼女は新潟の出身だった。彼女の家のそばにも、自動車部品を作っている小さな工場があった。
 栗原典子が上京してきたのは十八の時だ。特に薬剤師になりたかったわけではない。自分に受かりそうなところをいくつか受験した結果、たまたま某大学の薬学部に合格したというだけのことだ。
 大学卒業後は、知人の紹介があって、すんなりと今の病院での勤めが決まった。大学時代と、病院勤めが始まった五年間ほどが、自分が一番輝いていた時期ではなかったかと典子は思っている。
 勤めて六年目、恋人ができた。同じ病院で事務をしている三十五歳の男だった。その彼とは真剣に結婚のことまで考えた。障害はあった。彼には妻と子供がいたのだ。きちんと別れるつもりだ――彼はそういった。その言葉を典子は信じた。信じたからこそ、今の部屋を借りた。離婚すれば彼には行き場がなくなる。彼が家を出た時、すぐに身体を休められる場所を与えてやりたかった。
 だが多くの不倫がそうであるように、女が覚悟を決めると男は及び腰になった。彼は、会っている間中、いろいろと言い訳を漏らした。子供のことが気になる、今のままでは莫大な慰謝料を取られるだろう、時間をかけてじっくりと攻めるのが賢明――。そんな話を聞きたくてあなたと会っているんじゃないと、彼女は何度いったことか。
 その男との別れは、じつに意外な形で訪れた。ある朝、病院に行ってみると、彼の姿がなかった。別の事務員に尋ねてみると、辞めたらしい、という答えが返ってきた。
「あの人、患者さんが支払ったお金を着服していたらしいの」女性事務員は声をひそめていった。ゴシップを楽しむ顔になっていた。彼女はその男と典子の関係を知らなかった。
「着服って……」
「患者さんの治療費とか入院費の計算とか入金結果は、全部コンピュ郡枪芾恧丹欷皮毪扦筏纭¥趣长恧ⅳ稳摔稀⒋颏赁zみミスがあったみたいに操作して、入金記録を消しちゃって、その分のお金を自分の財布に入れてたわけ。ちゃんと支払ったはずなのに督促状が送られてきたっていう患者さんからの問い合わせが何件かあって、そのことが発覚したのよ」
「いつからそんなことを……」
「正確なところはわからないんだけど、どうやら一年以上も前からそういうことが行われていた形跡があるの。というのは、その頃から、患者さんの入金が遅れ気味になっているのよ。もう少し遅れれば督促状を発行するという期限ぎりぎりだったケ工ⅳい膜猡ⅳ毪巍¥嗓Δ浃榉感肖肖欷胜い瑜Δ恕⒋巍─嘶颊撙丹螭韦黏颔庭偿啸肖筏皮稀⑷虢鹩涘hの穴を埋めていたらしいわね。もちろんその代わりに、別の新しい穴が生まれていたわけ。で、その新しい穴が雪ダルマ式に大きくなって、とうとう埋めようがなくなって、ばれちゃったってことよ」
 楽しそうに話す女性事務員の赤い唇を、典子は放心状態で眺めていた。悪夢を見ているような気分だった。現実とは思えなかった。
「着服していた金額はいくらぐらいなの」必死で平静を装いながら典子は訊いた。
「二百万円ぐらいって聞いてるけど」
「そんなお金、何に使っていたのかしら」
「マンションのロ螭嘶丐筏皮郡盲圃挙琛¥ⅳ稳恕ⅳ瑜辘摔瑜盲啤⒌貋环唑vしてる時に買ったみたいよ」女性事務員は目を輝かせて答えた。
 病院側も警察沙汰にする気はないようだ、と彼女は教えてくれた。金さえ払ってもらえれば、穏便に済ませるつもりらしい。マスコミに取り上げられて、病院の信用に傷がつくことのほうを恐れているのだろう。
 それから数日、彼からは何の連絡もなかった。その間、彼女は仕事がろくに手につかなかった。ぼんやりすることが増え、一緒に仕事をしている仲間たちから大いに訝《いぶか》しがられた。自宅に電話しようかとも思ったが、彼以外の人間が受話器を取った時のことを考えると、決心がつかなかった。
 ある日の夜中、電話が鳴りだした。呼び出し音を聞いて、彼に摺い胜ぁⅳ鹊渥婴纤激盲俊9郡筏啤⑹茉捚鳏蜗颏长Δ槁劋长à皮郡韦稀⒈摔紊坤盲俊¥郡坤筏饯欷悉窑嗓殼盲俊
 元気だったかい、と彼はまず訊いてきた。あまり、と彼女は答えた。だろうな、と彼。自嘲したような笑みが目に浮かんだ。
「話は聞いていると思うけど、もう病院には行けなくなった」
「お金、どうするの」
「払うよ。分割だけどね。そういうことで話がついた」
「返せるの」
「さあ……でも、返さなきゃ。いざとなれば、ここを売ってでも」
「二百万、だって?」
「ええと、二百四十万ほど、かな」
「それ、あたしが何とかしようか」
「えっ」
「あたし、少し貯金があるの。二百万円ほどなら、何とかしてあげられるけど」
「そう……」
「だから、それを払っちゃったら、あの……奥さんと……」
 離婚して、といいかけた時、彼はいった。
「いいよ、そういうのは」
 えっ、と今度は彼女が声を漏らした。「いいって、どういうこと?」
「君の世話になる気はないよ。自分で何とかする」
「だけど」
「女房の」と彼はいった。「父親から金を借りてるんだ。マンションを買う時に」
「いくら?」
「一千万」
 ずきん、と胸に衝撃を受けた。腋《わき》の下を汗が一筋流れた。
「離婚するとしたら、それを何とかしなきゃならない」
「でもあなた、これまで一度もそんなこといわなかったじゃない」
「君にいったって仕方ないだろ」
「奥さんは何といってるの? 今度のことについて」
「そんなこと聞いてどうするんだよ」男の声は不機嫌になっていた。
「気になるのよ。奥さんは怒ってないの?」
 今回の事件で彼の妻が腹を立て、もしかしたら離婚をいいだすのではないかという期待が典子の胸にはあったのだ。しかし彼の答えは意外なものだった。
「女房は謝ってくれたよ」
「奥さんが?」
「マンションを欲しいといいだしたのは女房なんだ。俺はあまり仱隁荬袱悚胜盲俊7禍g計画にも少し無理があった。そのことが今度のことの原因だとわかっているんだろう」
「そうなの……」
「金を返すため、女房もパ趣顺訾毪趣い盲皮い搿
 いい奥さんね、という台詞が喉元まで出かかった。それをこらえると、苦みが口の中に残った。
「じゃあ、当分は何の進展も望めないわけね。あたしとの関係については」
 辛うじてそういうと、男は一瞬黙り込んだ。それからため息が聞こえた。
「やめてくれよ、そういうの」
「そういうのって?」
「嫌味ったらしくいうのはって意味だよ。どうせ君だって、わかってたんだろ」
「何が?」
「俺が離婚するわけないってことだよ。君のほうだって、単なる不倫ごっこのつもりだったんだろ」
 男の言葉に、典子は一瞬声を失った。あたしは本気だったわよ、と怒鳴りたかった。しかしその台詞を口にした瞬間、いいようのない惨めな思いが襲ってくることもわかっていた。彼女としては黙っているしかなかった。もちろんそうした彼女のブライドの高さを見越した上で、彼はそんなことをいったのだろう。
 こんな夜中に誰と話してるのよ、と彼の後ろで声がした。彼の妻だろう。友達だよ、心配して電話してきてくれたんだ、と彼。
 少ししてから、先程までよりも一層細い声で、「じゃあ、そういうことだから」と彼は典子にいった。
 何が「そういうこと」なのか、と典子は問い詰めたかった。だが胸いっぱいに広がった虚しさは、彼女に声を出させなかった。男はそれで目的を果たしたと思ったか、彼女の返事を待たずに電話を切った。
 いうまでもなく、それが彼と交わした最後の会話だった。それ以後彼は二度と彼女の前に姿を現さなかった。
 典子は部屋に置いてあった彼の日用品を処分した。歯ブラシ、剃刀《かみそり》、シェ鹰螗哎戛‘ム、そしてコンド唷
 捨て忘れていたのは灰皿だ。それだけは本棚の上に置いたままになっていた。それが埃に覆われる様子は、心の傷口が塞がっていくのを示しているようだった。
 それ以後、典子は誰とも付き合わなかった。しかし一人で生きていこうと決心したわけではなかった。むしろ、結婚願望は強まっていた。適当な相手と結婚し、子供を育て、平凡な家庭を築きたいと切実に思うようになった。
 事務員と別れてからちょうど一年が経つ頃、彼女は結婚情報サ鹰够嵘绀蛟Lれた。コンピュ郡摔瑜盲谱钸mな相手を決定するというシステムにひかれたのだ。彼女は恋愛感情とは切り放された部分によって、人生の伴侶を決めようとしていた。恋愛はもうこりごりだった。
 いかにも人当たりの良さそうな中年女性が、いくつかの伲鼏枻颏贰ⅳ饯欷藢潳工氡伺未黏à颔偿螗豫濠‘タに入力していった。途中何度も、「大丈夫、きっといいお相手が見つかりますよ」という言葉をかけてくれた。
 その言葉通り、そこの情報サ鹰够嵘绀稀⒋巍─鹊渥婴撕悉い饯Δ誓行预蚪B介してくれた。彼女は

返回目录 上一页 下一页 回到顶部 0 0

你可能喜欢的