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第41部分

白夜行:日文版-第41部分

小说: 白夜行:日文版 字数: 每页4000字

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「殺したのは、夕方事務所に来た連中らしい」
 桐原の言葉に、友彦は息をのんだ。
「何のためにそんなことを……」
 奈美江は黙って俯《うつむ》いたままだ。それを見て、桐原は改めて友彦のほうを向いた。
「紺色のジャケットを着た身体の大きなヤクザ、エノモトというそうやけど、奈美江はあいつに貢《みつ》いでたらしい」
「貢ぐって……金を?」
「貢ぐという以上は、もちろん金や。ただし、自分の金やなかった」
「えっ、ということは、もしかしたら……」
「ああ」桐原は顎を引いた。「銀行の金や。オンラインシステムを利用して、エノモトの口座に勝手に振り込んでたらしい」
「いくら?」
「総額でいくらになるかは、奈美江にもわからんそうや。何しろ、多い時で二千万円以上動かしたっていうんやからな。それが一年以上続いてたらしい」
「そんなことができるの?」友彦は奈美江に訊いていた。だが彼女は下を向いたままだ。
「できるということやろ。本人がやったというてるねんから。けど、奈美江の不正に感づいた人間がおった。それが真壁や」
「マカベ……さっきのニュ工巍
 桐原は頷いた。「真壁は奈美江が犯人とは思わず、自分の疑問を話したらしい。それで奈美江は観念して、エノモトに連絡したそうや。とうとうばれてしまいそうやてな。エノモトとしては、無限に金を引き出せる打ち出の小槌《こづち》を失いとうなかった。それで仲間だか子分だかに命じて、真壁を殺したというわけや」
 聞いているうちに、友彦は急速に喉が渇いてきた。心臓の鼓動が大きくなる。
「そうだったのか……」
「けど奈美江としては、万々歳という気分にはなられへん。いうてみたら真壁は、奈美江のせいで死んだようなもんや」
 桐原がいうと、奈美江が嗚咽《おえつ》を漏らし始めた。細い肩が小さく揺れていた。
「そういう言い方をせんでもええやろ」友彦は彼女を気遣っていった。
「こういうことは、オブラ趣税螭扦筏悚伽盲皮狻⒁馕钉胜い浃恧Δ
「だけど――」
「いいの」奈美江が口を開いた。瞼《まぶた》は模Г欷皮い毪ⅳ饯文郡摔虾韦椁螞Q意が込められているようだった。「本当のことなんだから。リョウのいうとおりなんだから」
「そうかもしれんけど……」そういったきり、後が続かなかった。仕方なく友彦は、話の先を促す目的で桐原を見た。
「それで奈美江も、いよいよエノモトとは縁を切らなあかんと思たそうや」桐原は、机の横を指差した。そこには大きめの旅行バッグが二つ、ぱんぱんに膨れた状態で置かれていた。
「道理で、あの連中が血相を変えて奈美江さんのことを捜してたわけや。奈美江さんがいなくなったら、その真壁っていう人を殺した意味がなくなってしまう」
「それだけでなく、エノモトは至急大金を必要としているらしい。本来なら昨日の昼間に、奈美江がいつものように金を振り込むことになってたそうや」
「あの人、いくつかの事業に手を出してるのよ。でも、どれもあまりうまくいってないみたい」奈美江が呟いた。
「どうしてあんな男に……」
「今ここでそんなことを訊いて何の意味がある」桐原がぶっきらぼうにいった。
「それはそうだけど……」友彦は頭を掻いた。「で、これからどうする?」
「何とか逃がすしかないやろ」
「そうやな」
 自首するという案は、この場合口にできないのだろうなと友彦は解釈した。
「というても、当面どこに身を置くかも決まってない。いつまでもこんなホテルにおったら、いつかは見つかってしまう。エノモトからは逃げられても、警察からはそう簡単には逃げられへんからな。長期間隠れてても平気そうなところを、今日と明日の二日間で俺が探してみる」
「見つかるかな」
「見つけるしかない」桐原は冷蔵庫を開け、中から缶ビ毪蛞护娜·瓿訾筏俊
「ごめんね、二人とも。もし警察に捕まっても、あなたたちに協力してもらったことは絶対にしゃべらないから」奈美江が申し訳なさそうにいった。
「お金はあるの?」と友彦は訊いた。
「うん、それはまあなんとか」彼女の口眨稀ⅳ嗓长珰n切れが悪かった。
「さすがは奈美江や。ただエノモトに操られてるだけやない」桐原が缶ビ毪蚱证摔い盲俊!袱长Δいθ栅搐毪长趣蛴柘毪筏啤⒚孛埭慰谧蛭澶膜獬证盲皮郡趣いΔ螭洹¥恰ⅳ饯欷兢欷慰谧恕ⅳ长盲饯瓴徽徒黏筏皮い郡趣いΔ螭浃椤⒏行膜工毪铩
「へえ」
「威張れることじゃないから、あんまりいわないで」奈美江は額に手をあてた。
「でも、金はないより、あったほうがいいよ」友彦はいった。
「そういうことや」そういって桐原はビ毪蝻嫟螭馈
「それで俺は何をしたらええ?」奈美江と桐原の顔を交互に見て、友彦は訊いた。
「おまえには二日間、ここで奈美江と一緒にいてほしい」
「えっ……」
「奈美江は迂闊《うかつ》には外に出られへん。買い物なんかを誰かが代わりにやるしかない。で、こういうことを頼めるのは、おまえしかおらん」
「そうか……」
 友彦は前髪をかきあげ、奈美江を見た。彼女はすがるような目をしていた。
「わかった。任せてくれ」強い口眨扦い盲俊

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 土曜日の昼間、友彦はデパ趣蔚叵率沉掀穳訄訾琴Iった弁当を、ホテルの部屋に持ち帰った。五目御飯に焼き魚や鶏の唐揚げがついた弁当だった。さらにホテルに備え付けのティ啸氓挨侨毡静瑜蛉毪臁⑿·丹圣譬‘ブルで昼食をとることにした。
「ごめんね、こんな食事に付き合わせちゃって」奈美江がすまなそうにいった。「園村君は、外で食べてきてもよかったのに」
「ええよ。一人で食べるより、誰か相手がいたほうが、俺も楽しいから」割り箸で焼き魚をほぐしながら友彦はいった。「それにこの弁当、結構うまいし」
「うん、おいしいね」奈美江は目を細めた。
 弁当を食べ終えると、友彦は次にプリンを冷蔵庫から取り出した。食後のデザ扔盲速Iってきたものだ。それを見て奈美江は少女のように喜んだ。
「すごく気がつくのねえ、園村君、きっといい旦那さんになるわよ」
「えっ、そうかなあ」プリンを口に撙婴胜橛蜒澶险栅欷俊
「園村君、恋人はいなかったっけ」
「うん。去年、ちょっと付き合ったけど、別れた。はっきりいうと、ふられた」
「へえ、どうしてかな」
「もっと撸Г臃饯颏瑜χ盲皮肽肖àà皮い铯欷俊0长系匚钉工毪椁筏ぁ
「みんな、男を見る目がないのねえ」奈美江はかぶりを振った。だがその後彼女は、自嘲《じちょう》するように笑った。「そんなことをいう資格、あたしにはなかったんだ」そしてカップの中のプリンを、スプ螭潜坤筏俊
 その手つきを見ながら、友彦はある伲鼏枻颏筏瑜Δ趣筏俊¥筏方Y局やめておいた。訊いても仕方のないことだと思ったからだ。
 だが奈美江のほうは、そんな彼の表情を見逃さなかった。
「エノモトとのこと、訊きたいんでしょ」と彼女はいった。「どうしてあんな男に引っかかったのか、どうして一年以上も金を貢いでいたのかって」
「いや、別に……」
「いいの。訊いてくれて。だって、誰が聞いたって馬鹿な話やもの」奈美江は、まだ中身の入っているプリンのカップをテ芝毪酥盲い俊!笩煵荨⒊证盲皮耄俊
「マイルドセブンやけど」
「うん。それでいい」
 友彦からもらった煙草に、友彦の使い捨てライタ腔黏颏膜薄⒛蚊澜仙睢─纫环筏俊0驻煠炑扭丝臻gを舞った。
「一年半ほど前、車でちょっとした事故を起こしてしまったの」窓を見ながら話し始めた。「接触事故よ。といっても、ほんの少しこすっただけ。それに、こっちに落ち度があるとも思えなかった。でもね、何しろ相手が悪かった」
 友彦はぴんときた。「ヤクザ?」
 奈美江は頷いた。
「取り囲まれちゃってね、一時はどうなることかと思った。そんな時、別の車の中からエノモトが現れたの。彼は相手のヤクザと顔見知りみたいだった。そうして、後日あたしが修理代を払うってことで話をつけてくれたの」
「ものすごい弁償金を要求されたとか」
 奈美江は首を振った。
「たしか十万円そこそこだったと思う。それでもエノモトは、下手な交渉をして申し訳なかったといって謝ったのよ。信じられないと思うけど、あの頃エノモトは本当に紳士だったの」
「信じられへんな」
「身なりもきちんとしていたし、自分のことをヤクザじゃないといってた。事業をいくつかしているとかで、その名刺をもらった」
 今は全部捨てちゃったけれど、と彼女は付け足した。
「で、好きになってしもたわけ?」友彦は訊いた。
 奈美江はすぐには答えず、しばらく煙草を吸っていた。その煙の行方を追う目をした。
「言い訳するみたいだけど、本当に優しかったの。あたしのことを、心底愛してくれているように思えた。そうして、そんな気分になれたのは、四十年近くも生きてきて、あの時が初めてだった」
「だから奈美江さんも、相手に何かしてやりたくなったわけや」
「というより、エノモトから関心を持たれなくなるのが怖かった。自分が役に立つ女だということを示したかった」
「それで金を?」
「愚かよねえ。新しい事業に金が必要なんだという話を、全然疑わなかった」
「でも、エノモトがやっぱりヤクザだってことには気づいたんやろ?」
「それはまあね。でも、もうその時には関係がなかった」
「関係がないって?」
「相手がヤクザであろうとなかろうと関係ない、という意味よ」
「ふうん……」友彦はテ芝毪紊悉位颐螭蛞姢膜幛俊7丹工伽匀~が思いつかない。
 その灰皿の中で、奈美江は煙草をもみ消した。
「結局あたしは変な男に捕まってしまうのよねえ。男撙胜い盲皮いΔ韦省
「以前にも、何かあったの?」
「まあね。煙草、もう一本もらえる?」友彦が差し出した箱から、彼女は一本抜き取った。「前に付き合ってた男はバ匹螭坤盲郡巍¥坤堡伞ⅳ蓼趣猡藘Pいてくれたことなんか殆どなかった。博打好きでね、あたしから巻き上げたお金を、きれいさっぱり賭事《かけごと》に使ってくれた。で、あたしの預金がすっかり底をつくと、もう用はないとばかりに姿を消したというわけ」
「いつ頃の話?」
「う……ん。三年前」
「三年前……」
「そう、あの頃。園村君とも初めて会ったよね。そういうことがあって、生きてることに嫌気がさしてたから、ああいうところにも行ってみようと思ったの」
「ふうん」
 ああいうところ――若い男と乱交するところ、だ。
「この話は、ずっと前にリョウにもしたことがある。だからたぶんリョウは、今度のことで呆《あき》れてると思う」奈美江はテ芝毪紊悉酥盲い皮ⅳ盲渴工韦匹楗ぅ咯‘を取り、煙草に火をつけた。
「どうして」
「だって、同じ間摺い蚶Rり返してるから。リョウは、そういうの、嫌いでしょ」
「ああ」たしかにそうだと友彦は思った。「一つ訊いてもいいかな」
「なあに?」
「銀行での不正送金って、そんなに簡単にできるものなのか」
「難しい伲鼏枴鼓蚊澜献悚蚪Mみ、立て続けに煙草を吸った。説明の仕方を考えているようだった。煙草が二センチほど短くなったところで、彼女は口を開いた。「簡単だったってことなのよね、結局。でもそれが落とし穴だった」
「どういうこと?」
「一言でいってしまえば、送金伝票を偽造すればいいだけのこと

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